のれん非償却 ― スタートアップへの意見聴取からスタート
2025年7月に入り、日本経済新聞で「のれんの非償却」に関する報道が連日続いています。
このテーマは、のれんの定期償却を求める日本基準と、非償却を採用するIFRSや米国基準との間に大きなGAAP差が存在することでも知られています。
もっとも、日本基準は、のれんを定期的に償却することで財務の健全性や資本効率を重視するという独自の立場を築いてきたともいえます。
今回この話題をブログで取り上げた理由は、これまでとは異なる観点からの検討が、非償却を推進する側から初めて明確に示されたことにあります。
具体的には、次のような論点が提示されています。
- のれんの償却・非償却の選択制を導入するという提案
- 償却する場合は、営業費用ではなく営業外費用または特別損失として処理する可能性
- 規制改革推進会議の**2025年5月28日付答申(P102)**において、財務会計基準機構(FASF)による検討の開始とその後のフォローアップの必要性が言及されていること(企業会計基準委員会(ASBJ)の検討および作業を提言する準備段階)
これらの動きは、いずれもスタートアップの成長促進という視点から生じており、会計基準の運用に対して政策的な要請がかかりつつあることを示しています。
本記事では非償却の是非に踏み込むことは控えますが、今後の議論の進展いかんでは、会計・監査の実務にも大きな影響が及ぶ可能性があります。
以下に、答申関連資料へのリンクを掲載していますので、政策側のトーンや背景を直接ご確認いただく際の参考にしていただければ幸いです。ページ数が多いものは関連が深いページへの直リンクを付しています。
今後も動きがあり次第、本ブログで取り上げていく予定です。
📄 参考資料(PDFリンク・いずれも内閣府公式サイト):
2025.7.12